百足と薔薇
あなたの言葉は全て、俺が真実に変えていくから
側に置いてよ。俺はあなたの壊す世界で咲きたいんだ。
だから、かあさま
「俺を……あなたの愛人にしてください」
アドニス→パンドラ
アドニスはパンドラに洗脳されない数少ない者であると同時に、互いが互いの唯一の理解者であると考えている。世の道徳に対する反逆として、自らがルールのような生き様であり継母であるパンドラの愛人として生きることを選んだ。彼女の前でのみ、穏やかで愛情深く、秘めやかな本来の姿を現す。
関係が安定し性的に求められなくなることを避けたいと考え、あえて距離を置いたり、飽きられないよう、常にロマンチックであろうと努力している(元々が雑な性格のため詰めは甘く、努力もパンドラに見透かされている)。
愛情は真摯だが倒錯しており、彼女には全く効かない両手から出る毒を彼女に摂取させたり肌に染み込ませ、知らないふりで受け止められることで愛情を確かめつつ、自分を刻みつけようとしている。
「今日から俺は手を繋がないと眠れないから。いいよね?」
アドニスの浮気的な側面
パンドラとの関係では満たせない(満たしたくない)嗜虐心を、敵対者や自分の毒の中毒者に向けており、一線を超えることもある。それらは必ず男性であり、自分は異性愛者であり彼らには愛情が全く湧かないため浮気ではないと考えている。
パンドラは薄々気がついているが嫉妬心はない。むしろ、嫉妬しているフリをしてお仕置きをするのを楽しんでいる(アドニスも楽しんでいる)。
パンドラ→アドニス
パンドラにとってアドニスは、弱さではなく自らの意思で自分を求め、進んで同じ道を歩もうとする稀有な存在。その点において彼を一目おいており、彼女なりに彼を大切にしている。しかし、彼から雨のように愛情を注がれることで彼女本来の性質が変わることはない。
彼の倒錯した愛から日常的に毒を浴びせられているが一切効かず、毒の爪を肌に立てられることを甘んじて受け入れている。逆に自分の体液の毒は体と思考を麻痺させる効果としてアドニスに効き、知りながらキスをせがむ彼を可愛く思っている。互いの毒に互いに気がついていない振りをしており、気が付かれていることも互いに知っている。
「目が虚ろよ、どうしたのかしら」「そんなの……ただそういう気分だからだよ……」
パンドラの浮気的な側面
王女時代からパンドラには、社会的地位の高い狂信者達が性別を問わず数十人おり、表沙汰にせず動かしたい事柄に利用している。パンドラは狂信者達を秘密裏に招く貴族趣味で享楽的なパーティーを定期的に開催し、「功労者」を一人選び関係を持つことで彼/彼女らを昂ぶらせることを楽しんでいる。
アドニスはその会の存在を知った上で愛人という形の関係を申し出た。アドニス自身も付き添わされることがあり、パンドラが毒の効果も相俟って「功労者」を狂わせていく様子を嫉妬を隠し冷めた目で見る。
アドニスが「功労者」とされた会では女王と王子が関係を持つ「狂った国」に参加者たちは熱狂し、アドニスは勝手に仲間意識と嫉妬の目を向けられた。アドニスはこの愛人関係の暴露に、秘密の共有によって狂信者達のパンドラへの依存をより強固にする効果があると理解している。
February 26th, 2022